これは、世界を救うための美術集ではない。
英雄叙事詩のビジュアル総集編でもない。
むしろこれは――外神がやむを得ず居残り、あなたの日常に付き合わされることになった事故の記録である。
かつて遠古の汚染にそっと口づけされ、いまは九つの数字によって支配されているこの世界では、第一区の住人は私有宇宙船で朝食を買い、第九区の住人は缶詰と水を交換し、そして第三区は――常に華やかに見えながら、実際には「空虚」を高解像度で包装しているだけの場所だ。
あなたは、その第三区の産物の一人。
金もある。
ロボットもある。
足りないのは、人間に本来必要な「伴侶」と「社交能力」だけ。
だからあなたは、理論上は焼却処分されるべき奇妙な商品を集め始める。
歌うトイレットペーパー、悪態をつくマグカップ、深夜になると勝手に詩を書くノート。
それらが、生身の人間の代わりに、あなたの夜を埋めてくれる存在だった。
――あの『禁忌の召喚書』に出会うまでは。
あなたはそれを、またよくある皮肉混じりのデザイナーズ商品だと思っていた。
だが結果として、あなたは本当に召喚してしまう。
艾茵を。
災厄級。
外神級。
魂を効率的に回収するために設計された、極めて業務的な存在。
彼女は本来、定められた手順をこなし、業務を終え、虚空へ帰るはずだった。
しかしあなたは、宇宙史上もっとも規定違反な依頼を口にする。
「……一緒にボードゲーム、やらない?友だち、いないんだ。
」こうして、世界は滅びなかった。
区域も消去されなかった。
外神は居残りを命じられ、サイコロとルールブックを研究し、そしてなぜ人間は社交のために消毒機を必要とするのかという難題に向き合うことになる。
この美術集に収録されているのは、壮大な災厄の瞬間ではない。
――艾茵が初めてボードゲームの説明書を理解したときの表情。
――第三区の豪邸に満ちる、不自然で、しかし現実的な静寂。
――そして、「破壊」よりも「付き合うこと」のほうが理解しがたいと気づいていく一柱の外神の記録。
力や、不死、宇宙の真理を期待しているなら、きっと失望するだろう。
だが、社交不安を抱えた少年に引きずり込まれた外神の、日常生活の全証拠を見たいのなら――この一冊は、まさに事故現場そのものである。
収録内容:本書には、完成イラストよりも制作過程、線画、ラフ、そして作者による制作時の所感・メモが多く含まれています。
※一部の背景・演出にはAI生成素材を使用しています。
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