昔ある日、私が「見合い」をした時のこと。
「ぶるっく……なあ?そういう作曲家は初めて聞きました」また別のある日、とあるオフ会にて。
「チャイコフスキーの第五交響曲が好きなんですよ!え?ブルックナー?いえいえいえ!グスタフ・マーラーとかアントン・ブルックナーとかは長ったらしくて、聞けないです!」「ブルックナーの交響曲には、英雄も小市民もいない。
(中略)ブルックナーの音楽を輪切りにすれば、赤い血のかわりに岩や氷がごろごろと転がり出る」「ブルックナーの作品について、ブラームスはこう予言した。
『少なくともそれは今までのところ、作品というより一種のまやかしであり、一、二年のうちには忘れ去られてしまうだろう』と。
だが、ブルックナーの作品は消え失せなかった」「『第五番』は大伽藍のように厳格なフォルムを持ち(中略)リストは(中略)一通り演奏し、作曲者の栄誉を『宣言』したという」(田代櫂『アントン・ブルックナー魂の山嶺』)(以後、前掲書より抜粋)「第一楽章は(中略)荘厳な序奏で始まる。
(中略)冒頭主題は(中略)全曲を統一する核となっている」(Adagio,約18分)「(第二楽章の)ピチカートの三連符と(中略)四分音符的な軋みは、そのころのブルックナーの心情を反映している。
慰めと勇気に満ちた第二主題が、ひと筋の光のように地上を照らす」(Adagio,約15分)「スケルツォでは第二楽章の三連符の音型が、そのまま三拍子となって引き継がれていく。
その上に現れる主題旋律は(中略)幻想的な表情を帯びる」(Scherzo,約13分)「フィナーレは限りなく堅牢で重厚である。
フルトヴェングラーはこの終楽章を『世界の音楽作品中最もモニュメンタルなもの』と評した。
『第五番』はほかのどの交響曲にもまして、結尾に向かって収斂されていく『フィナーレ』交響曲なのだ」(Finale,約23分)2年越しのピアノアレンジ、ついに完成。
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