【内容量】全92ページ【あらすじ】私、水無月麗奈は今年で29歳となる。
その日の夜も、私は行きつけのバーで一人グラスを傾けていた。
最近、少し悩み事がある。
それは、幼馴染みであり恋人の高瀬優一の事だった。
恋人の事で悩み、一人やけ酒のように黙々と飲んでいると、突然背後から声を掛けられた。
「水無月さん、こんばんは!今夜はお一人ですか?良ければ隣座ってもいいですか?」明るい声でそう言って、隣の席に座り始めるのは彼氏である優一の部下である斎藤遥馬だった。
以前優一の職場に出向いた時に、新しい部下だと紹介された事がある。
「あぁ、斎藤くんか。
別に構わないぞ。
」私は特に何も思わないまま、短くそう答えた。
すると斎藤は嬉しそうに隣に座ってきたのだった。
「……あの……水無月さんて……もしかして高瀬主任と喧嘩中ですか?」唐突な質問ではあったが、私は曖昧に首を振って答えた。
「喧嘩というわけではないのだが、その……優一が私に飽きてしまったのではないかと心配でな……私は女らしいタイプではないし、可愛げもないし……優一は中々私の身体を求めて来ないのだ。
キスはするし、愛情表現もしてくれるが……それ以上先を中々求めてこないのは、どう思われているんだろうか。
」私がボソッとそう告げると、斎藤は目を大きく見開いた。
「えっ……?付き合ってるのにですか?」私はまた小さく頷いて口を開いた。
「あぁ、だから悩んでいるのだ……私はそんなに女として魅力がないのだろうか」私は酔った勢いもありそのまま机に突っ伏すようにして、弱気な本音を吐き出してしまった……。
するとそんな様子の私に、斎藤は背中を優しく擦ってこう呟いた。
「水無月さんはとても魅力的ですよ。
いつも凛々しくて綺麗で、でもいざという時は誰よりも頼りがいがあって……俺の憧れです!」そう熱弁する彼に、私は少し照れながらも嬉しさを隠せないでいたのだ。
そして斎藤はそんな私の肩を抱き寄せるように手を置いたかと思うと、そのまま耳元でこう囁いてきたのだった……。
「水無月さん、俺なら貴方を満足させられますよ?だから俺と一度試してみませんか……?」酔いが回りぼうっとした頭で、斎藤のその言葉を聞いた私は……そのまま彼の胸の中に飛び込んでしまったのだった。
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