妖魔狩り 月光が君に降り注ぐ2[螺旋の月] | 2次元ドットコム ショップ別比較

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夕暮れ時、少女は逃げていた。
友だちと別れ、一人で歩いていたら男に追いかけられたのだ。
最近よく見る男であり、彼女にとって最早ひたすら恐ろしい存在だ。
何故か親しげに話してきたり、脅してきたり、連絡先を執拗に尋ねてくる。
必死で断り続け、逃げていたが、相手には通じないどころか、余計に彼女に纏わり付くようになった。
そんな時――声がした。
「あらあら、かわいそうに!どうしたの?」ずいぶん優しい声だ。
恐る恐る振り返ってみれば綺麗な女性が一人立っていた。
とってもとっても恐い思いをしていたから当に天使のように感じてしまう。
「え、あ……」「んもう!すっごくすっごく恐い思いをしたわよねえ!!」まるで全部知っているかのような同情の言葉が少女に浸みていく。
「そうだ!ねえ、あなた、あたしのところにいらっしゃい!!そうしたら全部解決するから」あんな男から逃げられる?こんなにふわふわで素敵な人だ。
信じていい。
何故かそう思った。
迷わず彼女の差し出した手に自分の手を載せてみる。
何故かそれだけですべてが解決したような気がした。
「いい子、いい子。
あたし、いい子は大好きよ」女性はそう微笑い、少女を愛おしそうに抱き締めた。
「さあ、一緒に行きましょう。
素敵な、素敵な場所へ」甘い誘いがとても心地好い。
「うんうん、あんなのはもう近寄ってこないから」そう!もう恐い思いしなくていいんだ!それは途轍もない少女の救いだった。
だから迷いもなく女性とともに歩き出していく――終わりのない夢の中へと誘(いざな)われるままに。

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