このはなさくや第一部:砂上の月天[文月の猫] | 2次元ドットコム ショップ別比較

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貴方に会える……「普通」が大好きだった。
□■□ストーリー□■□――思うに――僕は、屈折しているのだと思うそんなことさえも、至極当たり前に、とてもひどく、凡庸に『蓮之台』この平凡の街の中にいるのが当然の凡人あらゆる総てにおいて何一つ逸脱することなくそれはまるで見本品のように完璧な『普通の人間』なのだと思う僕には当然のように何もない僕は「このセカイ」から何一つ与えてはもらえなかった別に、それを不条理だと喚くつもりはないだって世の中が当然の如く不公平だなんてことは今更思い知らされるまでもなく十分、理解しているつもりだからそれに、どんなに不平を訴えたって結局、僕はこの平凡な世界で生きていくしかないんだから僕の毎日は、ただひたすらの繰り返し何の変哲もない日常平和で、退屈で、穏やかで、気怠くて身の回りの変化なんて、まるで間違い探しのように微細なものばっかりで僕は、そのゆったりとした絶望に溺れながら、生きているでもある夜――僕は「人の外のセカイ」があることを知った――歪んだ月明かりの下は、人の外「当たり前」なんて存在しない「普通」なんて有り得ない僕のセカイは一変した無色だった僕の景色が、見る間に彩られていく見知らぬセカイの姿に、鼓動はどんどん高鳴っていくそれは僕が夢見た、異なる世界僕が憧れた、世界のカタチ加速する鼓動と共に、僕は新しい世界を歩いていくその一歩一歩が、どうしようもないくらいに、嬉しくてだから――僕は、この先にある『結末』に、気付こうともしなかった――何処までも続く銀色の砂漠月だけが浮かぶ夜空それだけしかない世界を、知っている進んでも進んでも戻っても戻っても此処には何もないことを、知っているいつからここにいたのかいつまでここにいるのかそれも、たぶん本当は、知っているだから今は歩いていこう出来るだけ遠くまでいつか――あの月まで、辿り着けますように――

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