とらぶるとらいあんぐる[Ripe] | 2次元ドットコム ショップ別比較

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ある春の日曜日。
僕は、彼女との待ち合わせ場所である駅前に来ていた。
昼前に約束していた時間もとっくに過ぎてしまっている。
いい加減、待ちくたびれて連絡してみようと電話に手を伸ばそうとしたそのとき、大きな荷物を抱えてきょろきょろと辺りを見渡している女の子がいた。
「明里!」手招きするように彼女、御陵明里(みささぎ・あかり)を呼ぶと、安心したように笑顔を浮かべてこっちに駆けてくる。
「ごめんなさい!遅くなっちゃって……」「いいよ、明里が無事だったんなら」明里の荷物を受け取ると、揃って駅の中へと歩き出した。
「これから、准也クンの家に行くんだよね?」「うん、明里の荷物も届いてるし、ね」「……今日から、なんだね」「そうだね……」嬉しそうに微笑みながら、明里が僕の腕に抱きついてくる。
今日から、僕たちは一緒に住むことになっていた。
それは、明里が住んでいたアパートの改装工事の日程の間、宿無しになってしまう、ということから始まった。
その事情を最近になって聞いた僕は、迷わず明里を受け入れた。
「准也クン……今日から、よろしくね」「こちらこそ」僕たちは、改めて挨拶し合うと、僕の家に向かって行った。
「これから……どうするの……?」俺の隣で不安げに彼女が尋ねてくる。
さっき、ホテルを出た時点での所持金は……もう数えるほどしか残っていない。
「どう、しようかな……」もう行く当てなどどこにもなかった。
会社を辞めてから、新しい仕事も見つけて頑張ろうと思っていた矢先のことだ。
書類上の手続きのミスか工事の遅れからか、契約したマンションへの入居が一ヶ月も遅れてしまうことになった。
それからその日暮らしの生活を三週間送ってきたところで、俺達の軍資金も底を尽きようとしていた。
荷物はクローゼットサービスなどに預けているから良いのだが、とにかく宿がなかった。
「ね……大輔君……?」「……うーん」俺の隣を歩く、彼女が心配そうに見つめていた。
「!……そうか!」「え……ど、どうしたの……?」「あいつがいた!うん、確かこの近くに住んでる……!!」俺が思い出したのは、昔なじみの襟崎准也(えりさき・じゅんや)だった。
古い学生時代からの付き合いで、彼女も当然知っている。
ご両親の都合でこっちの方に出てから、ほとんど会うことはなかったが、訪ねていったこともあるから家の場所は覚えている。
「とりあえず行ってみるか……!」「え……あ!だ、大輔君!!」ここで、何を考えていても始まらない。
とにかく俺は、未緒を連れて、准也の家へと向かうことにした。
その来客は、僕と明里がリビングでくつろいでいるときに突然訪れた。
「よう、准也!久しぶり……」「あの……お久しぶり、です」玄関先に立っていたのは、昔なじみである牧内大輔(まきうち・だいすけ)と深海未緒(ふかみ・みお)さんだった。
「どうしたんだよ……久しぶりだなぁ……!」「実はな……住むところ、追い出されてな……」「…………え?」「その、ご迷惑だとは思うんですけど、泊めていただけたら……」「……准也クン?どうしたの」「あ……いや……」こうして、初めての同棲生活は、明里とこの二人を加え、賑やかになることに決まった……。

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