平凡だけど、ちょっと自分勝手な所のある主人公「八木京一(やつききょういち)」。
両親共に、世界をまたにかける大企業の現役バリバリの営業マンで、長期にわたって家を空ける事もしばしば。
その為、隣りに住む一歳年上の幼馴染み「三井智歩(みついちほ)」に世話を焼いてもらいながら、日々を過ごしていた。
いつものように、智歩と一緒に下校してきた京一は、家に誰かが侵入している事に気づく。
京一は家に突入し、泥棒(と決めつけている)に対して戦いを挑む……が、そんな京一に向けて、泥棒は無数の矢を撃ち込んできた。
かろうじてそれをかわした京一の前に立っていたのは、見覚えのない長身の女性。
彼女は、自分が矢を向けた相手が京一だと知ると、戸惑いを隠せない様子で言った。
「私は……京一殿の……許嫁だ」京一には、何がなんだかさっぱり分からなかった。
その女性の名は「一ノ瀬美姫(いちのせみき)」。
京一が何かトラウマでもあるのかと思うくらい毛嫌いしている「日高干支村(にっこうえとむら)」からやってきたのだと言う。
美姫の話によれば、京一と美姫は今から10年ほど前に親同士(美姫は日高干支村の村長の娘)の決めた許嫁。
村長から『結納の儀』を言いつかった美姫は、こうして京一の元にやってきたらしい。
年上の巨乳な女性がタイプな京一、その好みと合致する容姿の美姫が許嫁と聞いて、思わず嬉しいパニックを起こしていたが、「日高干支村」と聞いてその表情を青ざめさせる。
そんな京一に追い打ちをかけるかのように、美姫は「この話は、お断り申し上げたい」と言い放つ。
美姫は、昔ながらの古いしきたりの中で育ちながらも、今回の結婚の件だけは認めなかった。
自分の目で、相手が自分にふさわしいか認めなければ、心も身体も許さない、と。
そして再会した京一は、美姫の理想とする「日本男児」からは遠くかけ離れていると言うのだ。
そんな話を聞きながら、まじまじと美姫を見つめる京一。
幼い頃、こんな美人で巨乳に成長するであろう女性に出会っただろうかと、記憶を探る。
そして京一は、やっと思い出したのだった。
「お、お前……まさかあの『おもらし姉』!?」その言葉に、真っ赤になりながら京一を睨みつける美姫。
幼い時、京一は歳の離れた許嫁と引き合わされ、一時期一緒に過ごした事があったのだった。
でも彼は、歳上のくせに弱虫(加えてその歳の割にも貧乳)だった美姫を、いつもイジメていた。
美姫はその屈辱を忘れず、強くて美しい女性になったのだった。
嫌な過去を思い出させられて、さらに不機嫌になる美姫。
険悪なムードが漂う二人の前に、どこか時代錯誤な口調で話す女の子がひょっこり現れる。
女の子の名前は、「二条忍(にじょうしのぶ)」。
美姫の従者であり、自称「お庭番」。
今まで京一の部屋を美姫の部屋に改装すべく、奔走していたのだった。
その言葉に、驚き怒る京一に対して忍は、京一の両親が残した「誓約書」を見せる。
そこには三ヶ月の間、美姫と忍が家を自由に使って良いという内容が書かれていた。
さらには、「頑張って、美姫ちゃんのはぁとをゲットするのだぞ、京一♪」と書かれていて、追いつめられる京一。
そんな京一に、忍は事情を説明する。
古いしきたりに縛られず、親同士の決めた結婚には従いたくないという美姫に対して、村長は三ヶ月の刻を許婚と共に過ごし、その上で納得いかなければ婚約を解消しようという条件を出した。
その条件を呑んで、美姫は京一の家にやってきたのだった。
こうしていきなり、自分の意思とは関係なく許嫁との同居生活を始める事となった京一。
しかも京一と美姫は、互いに互いを『まったく認め合わない』という状況。
はたしてこの2人の関係は、進展するのだろうか……?
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