■ストーリー――あるところに、男がいた。
いや、より正確には、『彼』は人間ではない。
近しい姿をしてはいるものの、明らかに人ではない、異形の者だった。
『彼』は――その身体に無数、かつ様々な形の触手を持つ、言わば魔物……。
ただ、それが世間一般に照らし合わせて、褒められた物であるのかどうかは、さておくとして、『彼』には、人間と同じような『心』があった。
その性質は……残虐にして陰湿、そして孤高。
特に淫欲に熱心な一面を持つ、我々の『常識』からすれば、とても野放しにできないたちをしていた。
ところが、『彼』に、我々人間の理屈は通用しない。
人の寿命では計れないほど永き時を生き、超常的な力を多分に持っていた。
たとえいかに屈強な兵士であろうと、あるいは軍隊が束になってかかろうとも『彼』一人の力で文字通り一蹴できるのだ。
誰がそう呼び始めたか、『彼』こと、『触手の王』は……ある意味、絶対者だった………。
そして、その有り余る力を持つ者の常として、永き暇を持てあましている。
そんな王の『退屈しのぎ』は……世界を蹂躙すること………。
まったくもっての気まぐれで、何の前触れもなく様々な人の国を襲い、男は殺し、女は凌辱し尽くす。
それが王の、呼吸がごとき日常だった。
――ある日、海辺に一隻の船が現れた。
その船は一風変わった装飾を施し、乗り込んでいる人間達も、今まで王が――知識は多少あったものの――実際に見たことがない服装をしていた。
それは、遥か彼方の東の国から渡って来た使節団。
何の用で来たのかは、王にはまるで関係ないし、興味もない。
ただ、別の面で興味は惹かれた。
使節団の人間達の中に、粒ぞろいの女が何人かいたからだ。
『あの女達は、どんな風に泣くのかな……?』王の中に、陰湿な興味が湧き上がる。
そして、彼に、遠慮や躊躇いなどというものはない。
彼は配下の――同じく異形の兵達を率い、すぐさま船に乗り込んだ。
そして、いつもの王の戯れ……凄惨なる凌辱の宴が、ここに、幕を開く……。
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