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◆物語のあらすじ時は現代より少し先の話、機械化が進み、人の仕事は肉体より頭脳を使用した仕事が多くなっていた。
現代人は身体よりも、精神面でのメディカルケアを必要とする時代になる。
需要は供給の増加を生み、メンタルカウンセリングには優れた医者が多くなった。
家庭内のストレス、仕事に対するストレス、子育て、友達、男女など、さまざまなストレスに対する治療法が派生し医師の数と技術はそれに伴い多様化し続けた。
そんなカウンセラー達でも手に負えない患者が居る。
それがランクS。
普段の生活では全く問題ないのだが、一度心のタガが外れると、躁鬱状態になったり、視界に有るものを破壊したい衝動に駆られたり、自殺を図ったり、など手に負えなくなる危険な状態になる人間の事だ。
異常性二重人格に近いこの症状は、治療する医師たちにも危険が及ぶ事から扱いが非常に困難とされ、平均完治率は1%を下回っていた。
メディカルカウンセリングの世界では嫌われ、隔離の対象として扱われていた。
しかしそんな中、ランクS患者のみを専門にするサイコセラピストが現れる。
彼の名は五月雨樹(さみだれいつき)、その独特で異端な治療法からヒュプノティスト(Hypnotist)と呼ばれていた。
驚くべき治療法『強力な催眠によって対象者の全ての記憶と潜在能力を封印し、同様に催眠効果によって新たな性格に調教する』ヒュプノティストと呼ばれる所以は、彼が精神科医であると同時に、強力な催眠術を操る事ができるその二面性によるものだった。
あまりにも奇抜、そして和を嫌い、孤独を好むその性格から、異端中の異端とされた男の、ランクSの治療実績、実に99%過去の性格を捨ててまで治ろうとする者は少なかったが、それでも世界中から彼の元に治療を依頼する患者は耐えない。
そんな彼の元に、日本から一組の家族が訪れた。
患者の名は春川伊織(はるかわ・いおり)。
大人しく、今時では中々お目にかかれない、優しさを持ち、周囲や相手に対し気の利く少女だった。
両親達は治療費にしては法外な金を積んだうえで“伊織を消してくれたなら”どんな性格になっても良い、二週間後に引き取りに来る、といって彼女と彼女専属のメイド、真由美(まゆみ)を置いてゆく。
彼女の隠された恐るべき人格とは?彼は伊織をどんな性格に変えてゆくのか?真由美、助手として治療のヘルプをする看護士、沢渡加奈。
そして主人公。
三人は伊織の治療を成功に導く事ができるのか今、一大サイコカウンセリングが始まろうとしている。
◆キャラクター紹介春川伊織(はるかわ・いおり)今時珍しい、“男性を立て、女の自分は惚れた男に尽くす”という大和撫子。
思いやりと人間愛に溢れ、周囲の人間に気がまわる心優しい少女カオリの存在は漠然と気付いている。
だが、夢にしてはリアルな現象だという程度の認識で、どういったタイミングでカオリが表面化するのか、とかそういったタイミングに関しては一切不明。
桧山真由美(ひやま・まゆみ)無口で冷静なメイド。
伊織が幼少の時から彼女の周囲の世話をしており、伊織の両親よりも深く(恐らく“他人”の中では世界の誰よりも)伊織という少女を“知っている”裏人格“カオリ”を作った切欠は彼女自身が幼少の頃、伊織の両親が居ぬ間に伊織に激しい暴力を振るっていた事が原因。
“カオリ”の発現で虐待はしなくなり、逆に二人きりの時にカオリの手によって様々な暴力を受けており、自分の行いに激しい後悔をしているが、それを結局伊織の両親に伝える事が出来ないまま、ここまでやってきてしまった。
本能は後天的なマゾヒストだが、表面上の性格はサディスト。
沢渡加奈(さわたり・かな)樹が雇っているフリーランスの看護士。
明るい性格で、無機質になりがちな樹のオフィス笑顔を咲かせる安らぎの対象。
誰にでも優しく接する事ができ、底抜けに明るい。

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