本作は“アボガドパワーズ”の傑作AVG『黒の断章』の続編。
カルト・ホラー作家・H.G.ラヴクラフトの名著「クトゥルフ神話」をベースとして、次々と起こる猟奇殺人事件をテンポの良い語りで綴った前作に比べ、クトゥルフ色はいささか薄まったものの、今回は、量子力学や心理学、日本の古神道、そして“Es(=エス:超自我のさらに奥に潜む『抑圧された欲動』)”などを物語の機軸に据え、深みのあるドラマに仕上がっている。
▼ストーリー草薙(主人公)は、過去、警視庁が興した心理分析官導入計画のプロファイラー候補だったが、現在は涼崎聡の相棒として探偵稼業を営んでいた。
不可思議な猟奇事件(前作『黒の断章』)が解決してから一ヵ月後、草薙のかつての同僚だった山崎聡美と、沢村人志が同時刻に自殺するショッキングな事件が発生した。
その事件を追うことになった草薙と涼崎は、それが草薙にとって忘れることが出来ない三年前の事件とリンクしていることがわかった。
そしてさらに、神と奉り上げられた自閉症の少年・鵺野、雲頭様(ワンズサマ)と云う奇妙な信仰を持つ小さな漁村、その村で11年前に起こった村民九名の虐殺事件へと結び付いて……。
▼登場キャラクター●涼崎聡プレイヤー視点となる草薙と共に、本シリーズの主人公的存在である探偵。
18歳で渡米し、現地で探偵を営んでいたが、とある事件に巻き込まれ、恋人を失い、自らも記憶障害と多重人格障害を併発し、精神医療センターに収容された過去を持つ。
観察力、洞察力、知識に優れているものの、自分の事には酷く疎い。
●柏木明日香涼崎らが営む探偵事務所の助手兼秘書。
涼崎が関わっていた事件の被害者である柏木夫妻の娘で、17歳のときに涼崎の養女として引き取られた。
前作『黒の断章』の事件を機に、涼崎への想いが叶って親子関係から恋人に発展したようだが、その関係はあまり進展していない。
●冬川希某有名私立女子校に通う女子学生で、草薙の恋人的な存在。
一ヶ月前に起こった前作『黒の断章』の事件に巻き込まれ、そのショックで失語症になるが、精神科医だった草薙の懸命な治療もあって現在は完全に回復する。
優柔不断で何事にも消極的な草薙を自分からリードすることもしばしば。
●蒼澤なほチンプラ風の男・木場に絡まれているところを草薙に助けられ、草薙探偵事務所に助手を志願してきた少女。
明朗快活で、姉(=瑞穂)思いの優しい性格。
しかし、テストと称して草薙にエッチを試そうとする、ちょっと変なところも。
●蒼澤瑞穂なほの姉。
両親を早くに失ったことから、なほにとって母親のような存在。
エキセントリックで奔放な妹と比べ、物静かでしとやかな女性。
しかし、そんな妹に密かなコンプレックスを抱いている。
●滝沢洋子老舗のオカルト系雑誌「ユグドラシル」の専属ライター。
記事のためならどんなことで果敢にチャレンジする非常にアグレッシブな性格だが、後先考えずに突っ走ることから、周囲に迷惑をかけることもしばしば。
要するに、トラブルメーカーなのである。
●歩オカルトライター・滝沢洋子が持ち込んだ企画「超能力探偵vs並能力探偵」のために発掘された双子の妹。
自称超能力者。
エキセントリックで、謎めいた言動が多い。
●操歩と同じく、オカルトライター・滝沢洋子が持ち込んだ企画「超能力探偵vs並能力探偵」のために発掘された双子の姉。
当然、自称超能力者。
ボーイッシュで子供っぽい歩と比べ、物静かで大人びた感じの女の子。
歩の突っ込み&補佐的な役割を担う。
●江口麻亜美木場とアパートで一緒に暮らす少女。
最近、自分を抱いてくれなくなった木場が、自分に愛想を尽かしているのでは、と不安に感じている。
実は、彼女と木場は兄妹で、その事実を知った木場が距離を置き、彼女を妹として愛するようになったため。
貞操観念が薄く、金に困っている木場のためにコッソリ“ウリ”をやっている。
●山崎聡美三年前、草薙と同じく警視庁の心理分析官候補に選ばれた六人のメンバーの一人。
当時、草薙は、面倒見がよく、聡明で姉御肌の彼女によくアドバイスをもらっていた。
警視庁の心理分析官制度導入計画が頓挫し、現在はサイコセラピスト(=心理療法士)として診療所を開設。
しかし、数年ぶりに草薙と再会を果たすも、その最中、彼の目の前で奇怪な自殺を遂げる。
●水野菜奈子三年前、草薙と同じく警視庁の心理分析官候補に選ばれた六人のメンバーの一人。
心優しく、淑やかな彼女は、他のスタッフの憧れの対象だったが、彼女自身は草薙に好意を抱いていた。
しかし、彼女の不慮の死によって、警視庁の心理分析官制度導入計画は頓挫してしまう。
AbogadoPowers の作品が 9 件見つかりました 全1ページ
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